ハイエクは、銀行の金利を下げる政策には反対しました。
その理由を詳しくみていきます。
景気循環理論
ハイエクは、不況の原因をこう説明しました。
銀行や政府が金利を低くすると、設備投資が増えます。
しかし、実際には、お客さんは増えてなかったりして、儲からないのです。
この考え方は「オーストリア学派の景気循環理論」と呼ばれます。

お店が儲からないと、お店がつぶれて、そこで働いていた人がクビになります。
そうすれば、再び 景気は悪くなってしまいます。
「不況を先延ばしにしてはいけない」とハイエクは考えました。
金利が低いと挑戦しやすい
お店を作ることは「投資」です。
投資は「リスクがある挑戦」です。
お金を無駄にしないように気をつけながら、挑戦しないといけません。
さらに、お金がない企業は、銀行からお金を借りて、挑戦をします。
そのとき、企業はこう考えます。
「借りたお金を返すことができるか」

そして、キーワードは、金利です。
経済学で「金利」という言葉が出てきたら、基本的には「銀行の金利」です。
銀行から借りたお金は、少し増やして返さないといけません。
「少し増やして返す分」の大きさのことを、「金利」と言います。

金利が高いほうが、借りる側にとっては負担です。
企業が一番気を使わないといけないことは、金利が払えるかどうかです。
そして、金利が高いほど、厳しい判断になります。

金利を下げると、悪い投資が増える
金利を下げると挑戦のハードルは下がります。
しかし、これはデメリットでもあります。
無茶な投資が増えるからです。
金利が低いと銀行からお金が借りやすくなります。
「お店やりたいです」→ すぐOK
「工場作りたいです」→ すぐOK
といった感じに、挑戦のハードルが下がります。
設備投資がどんどん増えてくると
「みんなやってるし大丈夫そう」
「今がチャンスかも」という気持ちになります。
安心して真似しやすくなります。

金利が低いと、企業は楽観的になります。
「少しくらい失敗しても平気」
「またお金を借りればいい」
失敗の怖さを感じなくなるのです。
ハイエクは、この「増えすぎた挑戦」があとで一気に失敗につながることを問題だと考えました。
良い投資と悪い投資
良い投資と悪い投資があります。
良い投資とは、お客さんを集めるような人気のお店を作ることです。
悪い投資とは、どうせ潰れてしまうような需要のない店を作ることです。
良い投資をすれば、そこで働く従業員の給料は増えます。
悪い投資をすれば、そのお店は長くは続かず、途中で「やっぱり無理」と潰れてしまいます。
働いてる人が失業してしまいます。

大前提として、仕事があると景気が良くなります。
仕事があれば、そこで働く人は、給料をもらって、そのお金で食べていくことができます。
しかし、需要のないビジネスには、ハイエクは反対しました。
・誰も住まないマンション
・誰も買わない商品
・利益が出ない仕事
こういうのを増やすと、景気は良くならないと、ハイエクは言います。

需要のないビジネスは、利益が出ないことが判明したとたん、投資が止まり、そこで働いていた人が再び失業します。
このように、一時的にしか続かない投資は、しないほうがいいのです。
重要なのは仕事があるかどうかではなく、その仕事が本当に持続可能かどうかだということです。
持続できないビジネスなら、早めにやめた方がいいです。
痛みがあっても、被害を小さくできるからです。

悪い投資が増えると起きること
お店だけが増えると、最初は賑やかになります。最初は、景気がよく見えます。
しかし、お客さんは増えません。
なのに、お店だけが増えすぎると
売れない店が出てきます。
一年後には、全部潰れる、なんてことになるかもしれません。

投資が増えると賑やかになって、景気がいい感じがしますが、無駄な投資を増やすと、下記のような事態になりかねません。
・給料が払えない
・会社が潰れる
・働いてた人が失業する
・銀行にお金が払えない
この一気に崩れ落ちるタイミングが「不況」ということです。
無駄な投資をすると、あとで大きな失敗になるので、過剰な投資にハイエクは反対しました。
不況の原因
ハイエクは、不況の原因は、無茶な投資だと考えました。
すでに売れない店がたくさんあるのに、さらに店を増やしても、どの店も苦しくなるだけです。
もし、不況の時に、さらに店を増やしてしまうと、ムダにお金を使うことになります。
そして、本当に必要な場所に人やお金が回らないのです。
需要がないビジネスは早めにやめてしまう方がいいのです。
そしたら、人々が転職などをするなかで、ニーズがある場所に人が移動するかもしれません。
本当に必要な場所に人やお金が回るようにした方が、景気を改善しやすいのです。
信用拡張とは
信用拡張とは、銀行がお金をたくさん貸し出すための「方法」の話です。
世の中に存在している実物の札束の数は限られています。
それなのに、どうやって、お金をたくさん貸すのでしょうか?

実は、お金が増える仕組みがあるのです。
信用拡張とは、銀行がお金を貸しまくることです。
銀行がもともと持っているお金以上に、お金を貸してしまうのです。

実際にお札を刷らなくても、お金が増えたような状態にすることができます。
どうやってお金を増やすのでしょうか。
お金を刷るわけではありません。
目に見えない形でお金を増やします。
まず、銀行Aは、企業にお金を貸します。そして、企業は、銀行Bにお金を預けます。

こうすると、「お金が2倍になった」と考えることになっています。
なぜなら、銀行Aはお金を貸しただけで失ってないし
銀行Bは、新しくお金を預かっているからです。
さらに、銀行Bは、預かったお金を別の人に貸してしまいます。
これを繰り返すことで、世の中のお金の量がどんどん増えます。
実際にお札を刷らなくても、お金が増えたような状態になるのです。
しかし、ハイエクは、信用拡張による過剰な投資は避けるべきだと考えました。
