ハイエクの思想に関して、特筆するべき点を3点見ていきます。
①知識の分業
②計画主義への批判
③市場経済
知識の分業
まず一つ目に、「知識の分業」という考え方についてです。
これは、「知識は、一人ひとりの中にある」という意味です。

世の中の知識は、バラバラに分かれて、人々の頭の中に存在しています。
その全部を知っている人はいません。
これが「知識が分業されている」という意味です。

知識は、言語化できものだけでなく、「勘」も知識の一つです。
赤ちゃんが泣いた時、「お腹が空いている」のか「眠い」のか、親は勘で理解します。
その理屈を言語化できなくても、親にはわかるのです。

知識は、人々の頭の中にバラバラにあります。
しかも、現場の状況などで、「細かく変化する情報」です。
政府はそれをすべて集めきれないと、ハイエクは主張しました。
ハイエクと対立する意見
ハイエクと対立する意見を持っていたのは、マルクスです。
マルクスは、政府が全てを管理する世界を作ろうとしていました。
これは、「計画経済」と言います。

しかし、マルクスのやり方でやるためには、すべての知識を政府が集めないといけなくなります。
しかし、それは難しいと、ハイエクは考えています。
政府が管理しなくてもうまくいく
ハイエクは、政府がいろいろと管理しなくても、うまくいくと考えています。
なぜなら、価格が情報をまとめてくれるからです。
例えば、魚が少なくて、値段が上がったとします。
値段が高いから、お客さんは買うのを躊躇します。
一方で、漁師は、高く売れるなら・・・と、たくさんの魚を売ろうとします。
その結果、ちょうどいいバランスになるのです。

魚を売る人が増えて、買う人が減れば、ちょうどいい量に落ち着きます。
価格を見て、それぞれの人が行動しただけで、自然と調整が起きるのです。
価格が情報を伝える
ハイエクは、価格には、「商品の希少性などを伝える役割」があると考えました。
値段が高くなったら、それは、商品の数が減っているか、すごく人気な状態にあるということです。
価格には「情報」を伝えるチカラがあります。
しかし、もし政府が価格を決めるようになると、「情報の仕組み」が壊れてしまうと、ハイエクは心配しました。

値段が上がれば、お店は「これをもっと売ろう」と考えます。
一方で、お客さんは「今は高いからやめよう」と考えます。
こうしてバランスが取れるのです。
そのため、商品を作りすぎたり、逆に、少なすぎたりすることが少ないのです。
計画経済への批判
計画経済とは、「何をどれだけ作るか、いくらで売るかを決めるしくみ」です。
計画経済のメリットは、みんなに同じ分量だけ分れるところです。


しかし、デメリットもあります。
欲しい物が手に入りづらくなったり、
「もっとこうしたい!」という工夫が生まれにくくなるのです。
もし、計画経済が始まって、生産する会社が1つだけになってしまったら、大変です。
その商品が嫌でも、お客さんは、それを買うしか選択肢がなくなってしまうからです。

また、何をどんな条件で供給するかの決定権を政府が握ることになります。
さらに、それをどの地域の誰に分配するのかも政府が決めます。
政府がその気になれば、国民を相手に、差別をするかもしれません。
このように、政府という一部の人間にチカラが集まりすぎてしまう計画経済は、危険な仕組みなのです。
ハイエクは、全てをリーダーの直感に任せる経済は、怖いと考えています。
それに、計画経済では、国民が何を手に入れるべきかは、政府が決めるからです。
好きなものを買えなくなったり、好きじゃないものを買わなきゃいけなくなります。
しかも、その政府が決めたことを拒む方法がありません。
結局は、国民の買いもの、ほとんど全てを、政府が支配することになります。
これでは所得の使い道を直接命令するのも同じことであると、ハイエクは言います。

人々は自分がお金を稼ぐために働くのではなく、政府の命令に従って働くようになります。

市場経済に賛成
市場経済のいいところは、みんなの「ほしい!」がそのまま反映されるところです。
例えば、クレープが人気になれば、たちまちクレープ屋が増えて、田舎でもクレープが買えるようになったりします。

市場経済のいいところは、選択の自由があるところです。
どれを買うかは自分で決められます。
どんな仕事をするかも選べます。
自分の好きや考えが大事にされるのです。
逆に、売れないものは自然と作られなくなるため、いらないものを作りすぎません。

いらないものを作る会社は潰れるので、作りすぎることが少ないと、ハイエクは考えました。
そのため、ハイエクは、市場経済を支持しました。

