ハイエクがケインズを批判した理由とは?イラストで分かりやすく解説

ハイエク
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国家の悲劇

国家にとっての最大の悲劇は二つあります。

①大勢の失業者

②インフレ

一つ目は、失業者が増えることです。

失業者は、働きたくても働けない人たちです。

給料をもらえないので、貯金が尽きれば飢えて死んでしまいます。

だから、彼らは働きたいのです。

しかし、働く場所がない。

これが、一つ目の悲劇です。

二つ目の悲劇は、インフレです。

つまり、お店のものの値段がどんどん上がってしまうことです。

例えば、ある日お店に行ったら、パンの値段が20万円だった・・・・

なんてことがあったら困ります。

値段が上がると、今まで買えていたものが買えなくなります。

お店にものがあるのに、高くて買えない

ということが続いたら、みんなが飢えてしまいます。

極度のインフレは、国家の悲劇です。

そして、経済学では、どちらを「最大の悲劇」と捉えるのかによって、意見は分かれています。

ケインズは、失業者が多いことが悲劇だと考えました。

ハイエクは、インフレでみんな買い物できない状況になることを悲劇だと考えました。

景気刺激策

ケインズは、失業者を減らすために、景気刺激策をおすすめしました。

ケインズは、ラジオでロンドンの主婦たちに、とにかく買って買って買いまくるように勧めました。

たくさん買い物をする人が増えれば、景気が良くなると考えていたからです。

Bさんが、パン屋さんをしているとします。

Aさんがパンを買えば、Bさんのお店は儲かります。

そして、もっとパンを作るために、もっと働く人を増やそうとします。

失業者を雇います。

こうして、失業者が減って行くのです。

ケインズは、こう考えました。

「お金がある人は、貯金をせずに、使いきれ!!」

もし、Aさんがパンを買うことを我慢して100円貯金したら

そのぶん、パン屋さんのBさんは、儲かりません。

Aさんが貯金するたびに、Bさんのお店の人が失業している、ということです。

「だから、買い物をしてください」

「どんな代償を払ってでも、失業者を救いましょう」

このようにケインズは、人々に訴えました。

代償の犠牲者

ケインズは、どんな代償を払ってでも、失業者を救おうとしました。

しかし、その政策には、”代償”がありました。

その代償を味わった人の1人は、ハイエクです。

ハイエクは、ものすごいインフレのせいで、市民の生活が崩壊している点について説明しました。

ケインズは、買い物をたくさんしたらいいと考えました。

しかし、商品が高くても売れるようになると、物価が上がります。

つまり、インフレになります。

インフレになって困るのは、一般の人たちです。

貯金してたお金の価値がどんどん減ってしまうからです。

ハイエクは、自分の家族の貯金の価値が減っていくのを目の当たりにした経験から、それは高すぎる代償だと感じました。

インフレの危険性

インフレが起きると、いままで貯めたお金の価値が下がります。

例えば、100万円の貯金をしていたとします。

100万円あれば、100万円の車が買えます。

しかし、インフレが起きたら、どうなるでしょうか?

インフレとは、商品の値段が上がるということです。

例えば、2倍のインフレが起きると、100万円の車は200万円になります。

せっかく貯金があるのに、車の値段が200万円になったら買えません。

商品の値段が上がると、買えていたものが買えなくなります。

そのため、インフレになると、お客さんみんなが困ります。

ハイエクは、インフレを

「市民の財産を静かに奪うこと」

だと考えました。

インフレが起きる原因

インフレが起きる原因は明らかです。

政府(日本銀行)がわざとインフレを起こしているからです。

日本銀行という場所で、お金をたくさん刷ると、物理的にお金が増えます。

この増えたお金を人々に配ります。

そしたら、みんながちょっとずつお金持ちになります。

ケインズは、このやり方に賛成でした。

国のお金の量を増やせば、みんながお金持ちになって幸せになるからです。

一方でハイエクは、このやり方に反対でした。

みんながちょっとずつお金持ちになると、お店の商品が高くても売れるようになります。

こうなると、どんどん値上げするようになります。

特に、ハイエクが生きていた第一次世界大戦後のオーストリアは、大変な状況でした。

コーヒーを飲んでる間に、コーヒーの値段が変わっていた、とも言われています。

商品が高くなると、買えていたものが買えなくなるので、みんな困るのです。

ハイエクの考え方

ハイエクは「政府はルールを作る必要はない」と主張しました。

ハイエクは、経済を植物にたとえました。

植物は、人が育ててなくても、勝手に育っていきます。

自生する植物のように、経済も、政府がお世話しなくても、勝手に秩序が育っていくものだと考えました。

「むしろ、政府は秩序を作ることはできない」と主張しました。

人は、ルールに従って生きてます。

しかし、そのルールとは、慣習として自生してくるものです。

政府の人が、考えて作るものではない、とハイエクは考えました。

社会の変化と共に、ルールも変化します。

そのため、人々に自由に競走させていれば、自然とルールや秩序が生まれます。

そのため、政府が干渉する必要はない、というのがハイエクの意見です。

ケインズの考え方

一方、ケインズは「景気が悪い時は、国民がお金を持つべきだ」と考えました。

お客さんがお金を持っていれば、買い物をする人が増えて、お店が儲かります。

そのため「まずは、国民にお金を与えるべきだ」と主張しました。

ケインズ経済学は、すぐに人気になりました。

政府が国民にお金をくれたら、みんな嬉しいからです。

政府家は、ケインズ経済学を根拠に、国民にお金をバラまくようになりました。

国民にお金を配る政治家は、国民から人気になります。

国民にお金をバラまく活動に対して、理由を与えてくれるので、多くの政治家はケインズ経済学に従いました。

選挙によって政治家が決まる社会においては、ケインズ経済学は、都合の良い理論でした。

ケインズ経済学のデメリット

しかし、ケインズ経済学のデメリットもあります。

ケインズ経済学は、短期的に経済を立て直すチカラしかありません。

効果があるのは、3年〜5年程度です。短期の応急処置にすぎません。

日本のように30年間も不況が続く状況には、あまり効果がないやり方です。

ケインズ経済学は、やりすぎると、景気が悪くなる可能性もあります。

なぜなら、未来への不安が増えるからです。

政治家がお金をバラまくのが、ケインズ経済学です。

しかし、そのバラまくお金とは、もとはといえば税金です。

つまり、国民から集めたお金です。

今、お金をバラまくけど、後で増税して、もっとたくさんの税金を集めようと、政府は考えています。

未来の子どもたちが、膨大な税金を納めるのです。

現在の日本には1000兆円の赤字がありますが、これは、未来の私たちが税金として納めるお金です。

そう考えると、国民は未来に不安を感じます。

人は、不安を感じると、貯金をするようになります。

貯金をする人が多いと、お店が儲からないので、景気が良くならないのです。

不況の原因

ケインズは「不況の原因は、国民にお金がないからだ」と考えました。

しかし、ハイエクは違います。

不況の原因は、ルールが多すぎるからです。

生産性が高まるような成長産業が全く生まれていないから、経済が回復しないのです。

そして、成長産業が生まれないのは、色んな規制が生産性の向上を阻んでいるからだと、ハイエクは考えます。

たとえ、景気を良くするために、国民にお金をバラまいたところで、お金持ちになった気がするのは、一瞬です。

「今お金もらった分、将来の税金が増えるのだ」と考えれば、国民は未来に不安を感じます。

穴を掘って埋める

ケインズは「穴を掘って、穴を埋める」というような仕事もさせた方が良いと考えました。

穴を掘る仕事をすれば、国民に給料を与えることができます。

国民にお金を与えること、そのものが大事だとケインズは考えていました。

ケインズは「どんな仕事をするか?」は気にしませんでした。

「国民に給料を与えることが大事だ」と考えていました。

一方で、ハイエクは、そんなやり方に反対しました。

穴を掘って埋める仕事は、生産性がないからです。

国民に公共事業をさせて、給料を与えたとしても、そもそも、そのお金は、税金です。

穴を掘って埋めるという公共事業をさせたら、税金が無駄に使われることになります。

そのため、ハイエクは、生産性のない仕事をさせるべきではないと考えました。

お金をたくさん持ってる人は、税金をたくさん納める必要があります。

本来なら、そのお金を、もっと有意義な何かに使えたかもしれません。

しかし、政府に勝手に税金を回収されて、そのお金で「穴を掘って埋める」ようなことにお金を使われたら、残念です。

もっと税金が低かったら、未来の経済成長のために、そのお金を使えるからです。

成長産業が生まれるためには、お金が必要です。

お金をバラまいてるせいで、成長産業が生まれづらくなっているのなら、残念です。

ケインズ経済は万能ではない

ケインズ経済学は、世界恐慌の時のような「超・大ピンチ」の時に使う処方箋です。

短期間で、みんなが仕事をしてる状態を作ります。

しかし、この状況は、とても不安定です。

こうやって税金を乱用することで「みんなが働けている状態」を無理やり作ることは良くない、とハイエクは考えます。

ケインズ経済学では、生産性のない公共事業にお金が使われる事も多いです。

「みんなが働けていれば良い」という目標を目指したものです。

しかし、ハイエクは「産業の成長のために資源を使うべきだ」と考えています。

ハイエクは、ケインズの考える金融政策は、ほとんど成功する見込みのない、ヤケクソの苦し紛れの短期決戦だと考えました。

お客さんがお金を持っていれば、経済が回るのではありません。

企業が成長することで、経済は回復していくのです。

アフリカが貧しいなら、それはアフリカ人がお金を持っていないからではなくて、人気の企業がないから(生産するための知識と資本がないから)なのです。

日本が成長していないのは、ルールが多すぎて、新しい生産知識を獲得することや、産業を起こすことが難しくなっているからだ、ということです。

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