中央銀行について
私たちは、お金を使っています。
そのお金を発行しているのは、中央銀行です。
中央銀行は、国にお金を供給しています。
国のお金の量を増やしているのです。
例えるなら、
蛇口から流れてくる水が「お金」で
バスタブが「国」です。
また、中央銀行は、お金を供給するので、例えるなら「蛇口」みたいな存在です。

中央銀行は、国にお金を供給しています。
常に、水をチョロチョロだしているわけです。
ここまで読んだら、こう思った人もいるかもしれません。

バスタブの水は、溢れないの?
バスタブに水を供給し続けたら、水が溢れてしまいますよね。
でも、中央銀行は、国に、お金を供給し続けています。
それって、大丈夫なのでしょうか?
答えを言うと、大丈夫です。
なぜなら、世の中は、モノが増え続けているからです。
モノが増え続けているので、それに合わせて、お金も増え続ける必要があるのです。

逆に、お金を全く増やさないと、だんだんと、お金の価値が上がってしまうのです。

なんだかピンと来ない…
モノが増えて、お金が増えなければ、お金の価値が上がるということを、例え話で言い換えてみようと思います。
例え話です。
りんごがモノで、コップがお金で、ジュースが、お金の価値だと、考えてみます。


モノが増えて、お金が増えなければ、お金の価値が上がります。
世の中のモノの量は、技術革新で自然に増えています。
そのため、お金が供給されないと、お金の価値が上がってしまうのです。

中央銀行の目標は、物価を安定させることです。
お金を刷り続けることで、物価を安定させているのです。
論点
お金を、増やさなすぎると、デフレになります。
一方で、お金を増やしすぎると、インフレになります。
国にお金を、「ほどよく」供給することが、大切です。
しかし、この「ほどよく」というのが、専門家でも難しい問題です。
なぜ難しいのかというと
例えば
デフレになると、景気が悪くなってしまう場合があります。
一方で、インフレになると、景気が過熱してしまう場合があります。
「お金をどれくらい供給するのか」は、国の景気を左右する問題なので、論点となっているのです。
マネタリズム
今回は、マネタリズムの考え方をみていきます。
マネタリズムの考え方は、

国が成長してるスピードに合わせて、お金を供給するべき
というものです。
マネタリストのフリードマンは、こう言いました。
「貨幣供給量は、一定の量でいい」

マネタリズムは、「貨幣供給量は、一定の量でいい」と考えます。
つまり、供給量を増やしたり、減らしたりする必要はないということです。
お金の供給量を一定率で増やすルールを定める政策が望ましいと考えます。

マネタリズムの人は、次の考え方を前提にしてます。

国内のお金の量を増やしても、国内の経済は成長しない

たくさんのお金を供給しても、経済が発展するわけではないので、むやみにお金を供給するのは、良くないのです。
そうではなくて、モノが増えるスピードに合わせて毎年一定の割合でお金を増やすことが、大切です。
お金の価値が変化しないようにさえすれば、インフレやデフレはおきません。
そのため、ルールに基づいて、一定の量のお金を供給すればOKです。
これがマネタリズムの考え方です。
マネタリストとは、経済をコントロールするためには”お金の量”を考えればいいとする考え方をする人のことです。
世の中に流れるお金の量さえコントロールしていれば、経済はうまくいくと、マネタリストは考えます。
経済は、自由にするべき
たしかに、通貨の供給量のコントロールは、必要です。
しかし、それ以外のことは、政府が関わるべきではないと、マネタリストは考えます。
「それ以外のこと」というのは、例えば
失業者に仕事を与えたり、お金持ちから、ごっそりと税金を取ったり、お金を急にたくさん供給したりなど
短期的な効果しか得られないことは、すべきではないのです。
世の中を流れるお金の量さえコントロールすれば経済はうまくいくと、フリードマンは、主張しました。

国はインフレやデフレが起きないように、お金の供給量のコントロールだけをしていればよいのです。
そして、国の経済は市場に自由にさせておくべきなのです。
反論
マネタリズムに対しては、こんな反論があります。

不況の時は、貧しい人を救うために、政府が特別な行動をとった方がいいのではないか?
たしかに、マネタリズムが現れる前は、不況の時に、お金を国にじゃんじゃん供給したり、政府が失業者に仕事を与えたり、いろんな手を打っていました。
マネタリストの多くは、このような、政策が短期的に効果があることは認めますが
それでも、長期的にみると、そんなことをしない方がいいと考えます。

たしかに、失業者に仕事を与えるなどの、弱者救済のための行動を政府がやった方がいいように見えます。
しかし、なぜ、フリードマンは、そのような事をやらなくていいと考えたのでしょうか?
それは、リーダーが決定を下すやり方だと、リーダーの能力に左右されるからです。
リーダーが独断で政策を決める国は、危険です。
理由は、リーダーが優秀なら国は良くなりますが、リーダーが無能なら国は悪くなるからです。

もし、リーダーが無能だった場合
リーダーに有能になってもらうより、リーダーが無能でも上手く機能するルールを作る方がいいです。
その方が、長期的に経済を安定させるわけです。
もし、明確なルールを定めれば、金融政策の大きな誤りを防止することができるようになります。
だから、ルールがある体制にするべきなのです。
K%ルール
では、具体的にどんなルールが望ましいのでしょうか?
フリードマンは試行錯誤を続けました。
その中で、最も有名なのはK%ルールです。
K%ルールとは、お金の量を毎年一定のスピードで増やし続けるルールです。
フリードマンは、中央銀行がその時々の経済状況に合わせてお金の供給量を調節するより
お金の量を常に一定のスピードで増やす方が、結果的には経済を安定させる、と主張しました。
まとめ
マネタリズムとは、政府が世の中を流れるお金の量さえコントロールすれば経済はうまくいくという考え方です。
そして、K%ルールとは、お金の量を毎年一定のスピードで増やし続けるルールのことです。