ディマンド・プル・インフレとは、コスト・プッシュ・インフレとは?日本の過去の事例を分かりやすく解説

物価(インフレ・デフレ)

インフレには、2つの種類があります。

「ディマンド・プル・インフレ」と「コスト・プッシュ ・インフレ」です。

それぞれ見ていきます。

インフレとは

インフレとは、インフレーションの略です。

物価が高騰するという意味です。

つまり、お店のモノの値段がどんどん高くなっていくということです。

物価が「上がる」のが「インフレ」です。

覚え方として、風船に空気が「イン」して、風船が「上がる」 のがインフレです。

インフレには、良いインフレと、悪いインフレがあります。

まずは良いインフレについて説明します。

ディマンド・プル・インフレ

ディマンド・プル・インフレは、良いインフレです。

これは、「値段が高くても売れる」という理由で、値段が高くなるインフレです。

つまり、買いたい人がたくさんいる状況です。


お客さんが商品を奪い合ってるイメージです。

例えば、ダイヤが世界に一つしかなくて、たくさんの人がそのダイヤを手に入れようとしてるとします。

オークションのように、たくさんの人が「高い金額を払ってでも」ダイヤを買おうとします。

すると、売る人は、ダイヤの値段を高くします。

なぜなら、高くても売れるからです。

お客さんは、そのような人気商品を買えたら嬉しいです。

一方で、売る人にとっても、メリットがあります。

高く売れるということは、それだけ売った人が儲けたということです。

人は、儲けたくて商売をしているので、高く売れたら、売る人は嬉しいです。

このようなインフレの時は、国の景気が良くなります。

なぜなら、モノが売れる時は、お店が儲かるからです。

お店が儲かれば、そのお店で働いてる人たちに、給料を払う余裕が生まれます。

給料が増えた従業員は、嬉しくて、いろんな買い物をするかもしれません。

このように、ディマンド・プル・インフレの時は、国の景気が良くなります。

コスト・プッシュ・インフレ

一方で、コスト・プッシュ・インフレとは、悪いインフレです。

これは、「コストが高くなった」という理由で、値段を高くしています。

例えば、ウクライナで戦争が起きて、小麦が高くなれば、パンの値段が上がります。

これは、コストプッシュのインフレです。

コストとは、「商品を作るために必要なお金」ということです。

具体的な例としては、材料費や労働者に払う給料などが、コストです。

コストが増えるので、「コストプッシュ」と言います。

値段が高くなれば、お客さんは、買い物をやめて、節約をするようになります。

そうすると、会社は、儲かりません。

会社が儲からないので、そこで働く人は、十分に給料がもらえなくなります。

コスト・プッシュ・インフレの時は、国の景気が悪くなります。

モノが売れない時は、従業員に給料を払う余裕が生まれません。

もしかしたら、従業員をクビにしてしまうかもしれません。

こうして、失業者が増えてしまうのです。

日本の歴史

次に、日本の歴史を見ていきます。

日本は、ディマンド・プル・インフレも、コスト・プッシュ・インフレも両方、経験しています。

それぞれ、どのような経緯でインフレになったのでしょうか?

みていきます。

ディマンド・プル・インフレの事例

お客さんが商品を欲しがることで、起きるインフレのことを、ディマンド・プル・インフレと言います。

お客さんが「高いお金を払ってでも商品を買いたい」と思うことによって物価が上がっていくものです。

ディマンド・プル・インフレになったのは、戦争が終わった直後です。

最初はみんなが貧しかったのですが、経済が豊かになり、給料が増えました。

給料が増えると、いろんなものを買いたくなります。

みんなが買いたがるクーラー、マイカー、カラーテレビは3Cと呼ばれています。

みんなの給料が上がったことで、みんなは3Cを買おうとしました。

たくさんの人が商品を買えば、車屋さんや電化製品屋さんが儲かります。

モノが売れてるときは、お店は強気になって少し高めに値段を設定します。

車の値段を高くして売ったりしていました。

それでも、車は売れました。

当時は「高くても買いたい」と考えるお客さんがたくさんいだからです。

こうして、お店の商品の値段は高くなっていきました。

コスト・プッシュ・インフレの事例

しかし、その後、コスト・プッシュ・インフレが起きます。

コスト・プッシュ・インフレとは、原材料のコストが押し上げられることによって物価が上がっていくものです。

キッカケは、1973年第四次中東戦争です。

その戦争により、中東の国々から輸入してる石油の値段が高くなりました。

石油の値段が上がると、海外からものを運ぶタンカーの燃料代が上がります。

ガソリンが上がれば国内で物を運ぶコストも上がります。

メーカーから商店までものを運ぶコストが高くなるわけですから、その分、商品も高くなります。

商品の値段を高くしないと、ガソリン代が払えません。

お店は、仕方なく商品の値段を高くします。

コスト・プッシュ・インフレは、皆が商品を欲しいと思っていなくても、モノの値段が上がります。

パンや米などは、買わないと生きていけません。

高くても買うしかないのです。

お客さんは、お金がたくさんあるわけでもないのに、高い金額を払わないといけないのです。

お客さんが一番、苦しい思いをします。

今もコロナによりインフレが起きていますが、これも、コスト・プッシュ・インフレです。

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