お金が増えれば使うはず
金融政策とは、国民の手持ちのお金が増えれば、みんなはお金を使うはず…という考え方で行われます。
例えば、日本国民がみんな「ちょっとお金持ち」になったとしたら、みんなは、お金を使うはずです。
しかし、現実には、お金が増えても、みんな溜め込むだけで使いません。
なぜ、お金を溜めこむだけなのでしょうか?

なぜお金を溜め込むの?
この疑問に対して、ケインズは
お金を持つ理由は2つあるからだ、と考えました。
それは、取引需要と資産需要です。
・取引需要は、買い物のためのお金
・資産需要は、資産として持つお金

資産とは
資産とは、個人が持っている「財産」です。
これは、貯金だけではなくて、家とか、株とか、債券とか、いろいろなものを含みます。
債券とは
債券は、もってるだけでお金が増えるチケットです。

例えば、政府にお金を貸している間、政府から債券(国債)を受け取ります。
お金を貸したら、利息つきで返してもらえます。
持っているだけでお金(利息)がもらえるのが債券です。
普通に考えて、買い物に必要なお金だけ手元に持って、それ以外のお金は、債券を買うことに買うのが、1番賢いように見えます。

しかし、現実の人は、そうしません。
それは、なぜか?というのが、この記事のテーマです。
債券のデメリット
債券とは、持っておくだけでお金が増えるやつです。
でも、その間はお金が使えません。
そして、価格変動のリスクがあります。

債券の転売
債券は、転売できます。
債券の値段は上がったり下がったりしています。
これを「安く買って高く売れば、勝ち」です。
自分がお金を持ってる時に債券を買うのではなくて
債券が安い時に、債券を買うのです。

また、利子率が低いときは、債券の価格は高くなります。
債券の価格が高いときは、債券を買わないのです。
資産需要
資産需要とは、資産としてお金を持っておきたいという需要です。

利子率が低いと「債券を持つよりも現金で持っていた方がいい」と思う人が増えるのです。
金融政策が効かなくなる
ケインズは、金融政策だけでは景気は良くならないかもしれないと考えました。
金融政策では「金利を下げる」ことでお金を使いやすくし、景気を良くしようとします。
しかし、もし金利がすでにすごく低いと……
- いくら金利を下げても、人々は「お金を資産として持っておこう」と思って使わない。
- つまり金融政策(お金を増やす政策)が効かなくなる。