資本の限界効率をイラストで分かりやすく解説

ケインズ
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景気を良くするにはどうすればいいでしょうか?

ケインズが主張したことは、設備投資を増やして経済を回せば良いということです。

しかし、設備投資を増やし続けると、だんだん飽和状態になって成長が横ばいになります。

どういうことでしょうか?

詳しく見ていきます。

資本の限界効率

資本の限界効率とは、新しい機械が生み出す稼ぎのことです。

設備投資を増やすためには、資本の限界効率が銀行の金利よりも高い必要があります。

設備投資

「投資」という言葉には、いろいろあります。例えば、証券投資とは、株を買うことです。

しかし、ケインズのいう投資とは、設備投資のことです。

設備投資とは、お金稼ぎに必要な機械などを買うことです。

例えば、パン屋さんがオーブンを買うようなことです。

設備投資が増えると、経済が良くなる理由

設備投資とは、企業が買い物することです。

たとえば、パン屋さんがオーブンを買うようなことを「設備投資」と言います。

パン屋さんがオーブンを買う時、パン屋さんは、オーブンを作るメーカーにお金を払います。

メーカーが儲かります。

企業が買い物をすれば、その分、誰かが儲かります。

儲かる人が増えることを「景気が良くなる」と言います。

設備投資が増えると、景気が良くなります。

パン屋さんがオーブンを買うと、パン屋さんはさらに多くのパンが買えて儲かるし、オーブンを作って売ったメーカーも儲かるからです。

設備投資は、仕事を生みます。

そうすれば、オーブンを作るメーカーはより多くの人を雇う余裕が出てきます。

パン屋さんも儲かれば、より多くの人を雇う余裕が出てきます。

このように設備投資が増えることで失業者が減るわけです。

ケインズは、失業者を減らすためには、設備投資を増やすことが大切だと考えました。

じゃ、設備投資を増やすにはどうしたらいいか?ということを考えていきます。

設備投資を増やす方法2つ

設備投資を増やす方法は、設備投資で儲かるようにすることと、損しないようにすることです。

設備投資で儲かるようにする

設備に投資する理由は、お金を稼ぐためです。

会社は、新しい機械を買った方が、さらにお金儲けが簡単になります。

新しい機械は、たくさんある方がいいです。

その方が効率的にお金を稼ぐことができるからです。

そのため、会社は設備に投資をするのです。

「新しい機械を買うと、どれだけの収益をあげるか」のことを資本の限界効率といいます。

パン屋さんにとって、資本の限界効率は「手に入れるお金」です。

パン屋さんは、資本の限界効率が高いと思ったら、設備投資をします。


資本の限界効率は、高い方がいいです。

設備投資で損しないようにする

パン屋さんがオーブンを買う時に、お金がなければ銀行からお金を借ります。

銀行からお金を借りたら、利子をつけてお金を返す必要があります。

利子の大きさのことを「金利」と言います。

金利は低い方がいいです。

パン屋さんにとって、金利は「払うお金」です。

払うお金は少ない方がいいです。

そのため、金利は低い方がいいです。

金利が高いと、損をしてしまいます。

資本の限界効率と金利

資本の限界効率と金利は、比較する必要があります。

設備投資をする時は「入ってくるお金」が多いのか「出て行くお金」が多いのか、計算する必要があります。

もし、出ていくお金の方が高いなら、機械を買わない方がいいです。

金利よりも、資本の限界効率の方が高いと思った時に、パン屋さんは設備投資をします。

設備投資は多すぎると、儲からなくなっていく

設備投資は多すぎると、儲からなくなっていきます。

つまり、資本の限界効率は、だんだん下がっていくようになっています。

オーブンをたくさん買うと、オーブンを買うことのインパクトが減っていきます。

オーブンが1個しかないパン屋さんが、もう一つオーブンを買うと、作れるパンの数が2倍になります。

これは、大きなインパクトがあります。パン屋さんの人生を変えるようなインパクトかもしれません。

しかし、オーブンを10個持ってるパン屋さんが、11個目のオーブンを買っても、パン屋さんの人生はあまり変わりません。

設備投資が増えれば、その収益率は下がってくるのです。

基本的には、オーブンの数は、多い方がいいです。

しかし、オーブンがたくさんあっても、使いきれなくなっていきます。

あくまでも例えですが、小さなパン屋さんに必要なオーブンは、せいぜい10コくらいでしょう。

パン屋さんの店長に、オーブン100000コをプレゼントしたとしても、パン屋さんの店長は、困ってしまいます。

そんなにたくさんいらないからです。

パンをたくさん作っても売れ残ってしまいます。

オーブンがたくさんあっても、使わないオーブンも出てきてしまいます。

オーブンは、たくさんはいらないのです。

お客さんの数

オーブンがたくさん必要かどうかは、お客さんの数によります。

不景気になって、お客さんが減ってしまったら、オーブンをたくさん持っていても意味がありません。

なぜなら、お店は売れる分しか作らないからです。

パンをたくさん作っても、売れ残ってしまったら捨てるしかありません。

パンを作りすぎると、損してしまいます。

パン屋さんは、お客さんが来て買ってくれる分だけのパンを作るのです。

不景気であれば、パンが売れません。

こんな時は、パン屋さんは、オーブンを買おうとは思いません。

当時のアメリカ

ケインズは、当時のイギリスやアメリカは、機械や工場がたくさんありすぎる状態にあると主張しました。

機械は既に十分にあって、それ以上は必要ないから、設備投資する人が増えないと考えました。

既に、オーブンをたくさん持ってるパン屋さんが、新しくオーブンを買っても、それ以上儲けることはできません。

機械をたくさん手に入れても、無限にパンが売れるわけではないので、資本の限界効率が下がってしまうのです。

失業者がいる理由

ケインズは、「失業者へ怠け者ではない」ということを論理的に説明しようと頑張った人です。

失業者がいる理由は、設備投資が増えなくなるからです。

設備投資が増えなくなる理由は、機械がたくさんありすぎて、それ以上、必要ないからです。

オーブンを買う人がいないから、オーブンを作ってるメーカーが儲からなくなって、失業してしまうのです。

経済は、ずっと右肩上がりに成長できるわけではないと、ケインズは考えました。

金利もどんどん下がる

ケインズは、資本の限界効率が下がるに従って、銀行の金利もどんどん下がるだろう、と予想しました。

なぜなら、金利が資本の限界効率より低くないと、お金を借りてもらえないからです。

銀行はお金を貸すことで儲けています。

お金を借りてくれる人がいないと困ります。

資本の限界効率が下がるなら、金利も下がるのは、普通のことだと、ケインズは考えました。

ケインズ政策

国というのは、何もない状態の頃は、右肩上がりに成長します。

しかし、ある程度、必要な設備が十分に作られると、もはや成長できなくなっていきます。

ケインズは、そんな状態を想定して、ケインズ政策というものを考えました。

ケインズが想定しているのは、設備はあるけど、余っていて使われていない状態です。

生産能力が余っている状態から、失業者が雇われる状態までもっていくことが、ケインズ政策の目的です。

そのために、ケインズは「お客さんを増やそう」と提案しました。

これ以上、設備(生産能力)はいらないから、お客さん(需要)を増やす方が大切だ

というのが、ケインズの意見です。

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