豊かになるために
経済的に豊かになるには、どうすればいいでしょうか。
「豊かになる」というのは、「お金持ちになる」と言う意味です。
お金持ちになるには、何が必要でしょうか。
それは、貯金です。
個人が豊かになるために、貯金が必要です。
貯金と貯蓄は、同じです。
みんなで豊かになるために
では、みんなで豊かになるためには、何が必要でしょうか。
じつは、みんなで豊かになるために大切なことは、「貯金をしないこと」です。

なぜ、みんなで豊かになるために大切なことは、「貯金をしないこと」なのでしょうか。
不況のときに皆が貯金をしてお金を使わなくなると、その分、お店が儲からないからです。
結果として、「みんなが貯金しても、社会全体の貯金は増えない」という不思議な現象が起こります。
これをケインズは「貯蓄のパラドックス」と呼びました。

ケインズは、景気が悪いのは、お金持ちが貯金をしているからだと考えました。
当時のイギリスでは、多くの大企業で「所有(株主)と経営(経営陣)」が分離していて、株主は利子収入だけを得る“利子生活者”になっていました。
たくさんお金を持っていても、ほとんど使わずに貯めこんでしまっていたのです。
買い物をしないで、貯金ばかりする人が多いと、お店が儲かりません。
だから、景気がよくならないのです。

そのため、ケインズは、貯蓄は美徳ではないと考えました。
解決策
この状況で、ケインズは、貧富の格差を是正しようとしました。
お金持ちは、お金を手に入れても、貯金するだけで、経済を回してくれません。
しかし、貧しい人はお腹が空いているので、食べ物を買うために、すぐにお金を使ってくれます。
その行動が、経済を回しているのです。
お金をすぐに使う人のことを「消費性向が高い」と言います。

貧しい人のほうが、消費性向が高くて、経済を回してくれるので、貧しい人ほど、お金を得るべきなのです。
そのため、ケインズは、累進課税や財政政策などを行うことで、貧富の格差を是正するべきだと、主張しました。

貯蓄のパラドックスへの反論
ちなみに、貯蓄のパラドックスに反論をした経済学者もいます。
それは、ハイエクです。
ハイエクは、貯金は良いことだと考えていました。
その理由は、Aさんが貯金をして、銀行にお金を預けると、銀行のお金が増えるからです。

銀行は、そのお金を企業に貸します。
企業は、工場や設備を作ります。
この時に、お金が動くのです。
設備投資をすると、工場を建設するために建築業の人が儲かったり、材料を生産してる人が儲かります。
そのためハイエクは、銀行にお金を貯金する人が多いほうが、経済が成長すると考えました。

投資には時間がかかる
ケインズ経済学で「投資」と言ったら、それは「設備投資」のことです。
つまり、工場を大きくしたり、新しい機械を買ったり・・ということです。
ハイエクは「投資には時間がかかる」と言いました。
機械を作ったり、工場を建てたりなどの長い生産過程があります。
人々が貯金をしていて、銀行にお金がある状態の方が、この長い生産過程に投資できるとハイエクは考えました。

