輸入品を買うか?国産品を買うか?
「海外で作られた商品」を「輸入品」と言います。
また、「日本で作られた商品」を「国産品」と言います。
輸入品を買うと、海外の農家が儲かります。
国産品を買うと、日本の農家が儲かります。

日本の政府は、できれば国民に「国産品を買ってほしいと思っています。
海外の農家よりは、日本の農家のことを応援したいからです。
しかし、それをやり過ぎると、自由じゃない貿易になっていきます。
そのため、「国産品」か「輸入品」かで、区別せずに、みんなが自由に買い物できるようにしよう!という考え方も出てきています。
これを「自由貿易」といいます。

そして、自由貿易をもっと広げていこう!という協定を、「自由貿易協定(FTA)」といいます。
なぜ、この協定が作られたのか、見ていきます。
第二次世界大戦
FTAは、実は、「第二次世界大戦のような争いをもう起こさないようにしよう」というところからスタートしています。
第二次世界大戦の少し前の時代(1930年代)、世界中で、自由じゃない貿易をするようになっていました。
結果として、貿易がどんどん減り、みんなが貧しくなりました。
自由じゃない貿易って?
自由じゃない貿易というのは、国がいろんなルールや制限をかけている貿易のことです。
例えば、輸入品に、関税という税金をかけて、高くしてしまうというやり方があります。
こうすると、輸入品が高くなり、お客さんは、輸入品を買いづらくなります。
関税(かんぜい)
関税とは、輸入品の値段を高くするやり方です。
「輸入品を買うなら税金を払って」というルールのことを関税と言います。

輸入品に関税がかかると
お客さんは、輸入品を買うときに、税金を払わなければいけません。
輸入品を買う時に、たくさんお金を払う必要があるのです。
つまり、「輸入品の値段が高くなる」ということです。
こうなると、お客さんは、輸入品を買わなくなります。
なぜなら、お客さんは、高い商品を買いたくないからです。

政府が国産品を応援する方法は、国産品をたくさん買うことです。
しかし、国民に「国産品を買え」と命令することは出来ません。
国産品を買ってもらうようにする必要があります。
そのために、「輸入品と比べると、国産品の方が安い」という状況を作ります。
だから、輸入品に関税をかけるのです。
保護貿易
このように、政府が国産品を応援している状態のことを「保護貿易」と言います。
保護貿易が必要な理由は
・自分の国の農家や工場を守るため
・外国に頼りすぎないようにするため
などがあります。

思い切った言い方をしてしまうと
日本にとって、日本人は味方で、
外国人は、ライバルです。
輸入品を買ってしまうと、ライバルが儲かってしまいます。
そのため、輸入品を買わせないようにする必要があります。

貿易戦争
しかし、保護貿易を続けていると、貿易戦争が起きてしまいます。
たとえば、A国が、「B国の商品は買わない」と宣言したとします。
そして、B国の商品に関税をたくさんかけます。
すると、B国のお店は、儲からなくなってしまいます。
それは、B国の人が困ります。
こんなことが起きると、B国は怒ってやり返します。
B国が「じゃあA国の商品を買わない」と宣言します。
そして、A国の商品に関税をたくさんかけます。
すると、A国のお店は、儲からなくなってしまいます。
それは、A国の人が困ります。
このように、「相手国の商品を買わない」なんて宣言すると、お互いにお互いのことを苦しめてしまうのです。
これは、貿易戦争と呼ばれる状態です。
第二次世界大戦前は、この貿易戦争が起きていました。
このような教訓から、FTAが結ばれました。
FTA
自由に貿易しよう、というのがFTAです。
国と国との間で結ばれる、自由貿易に関する協定をFTAといいます。
2か国の場合もあれば、複数の国がFTAを結ぶ場合もあります。

自由貿易が良い理由
自由貿易が良い理由は、その方がお客さんの選択肢が増えるからです。

国産品を買うのか、輸入品を買うのか選べた方が、お客さんにとって嬉しいです。

また、自由貿易が活発になれば、それぞれの国が自分の得意なものに特化できるようになります。
例えば、フランスがワインに特化したり、イギリスが毛織物に特化したりした方が、全体として、みんながトクします。
自由貿易は、世界が協力できる仕組みなのです。


