政府は自国通貨建ての国債なら、理論的にはいくらでも借金できる?経済の仕組みをイラストで解説

国債
スポンサーリンク

政府は自国通貨建ての国債なら、理論的にはいくらでも借金できる、という考え方があります。

ただ、国債をたくさん発行してしまうと、デメリットもあります。

この記事では、国債をたくさん発行することのデメリットについて書いていきます。

論点

日本銀行は、円を作っています。

そのため政府は、日本銀行からお金を借りれば、理屈上は、いくらでもお金を借りることができます。

お金をジャンジャン刷れば、古い国債(借金)を返済することはできます。

この仕組みを突き詰めると「政府は、理論的にはいくらでも借金できる」という話になります。

そのため「政府は、もっと借金をしても大丈夫だ!」と主張する人もいます。

しかし、これには、いくつかの懸念点があります。

国債を大量発行することのデメリットを考えていきます。

理由①インフレになる

一つ目の理由は、インフレになるからです。

お金を急激に増やしても、モノの量が増えなければ、インフレになります。

人々の給料が増えるスピードを追い越してしまうと、人々は、実質的に貧しくなってしまいます。

理由②通貨の信用が下がる

二つ目の理由は、通貨の信用が下がるからです。

「1円の価値が下がってしまうのではないか?」と人々が考えるようになるのです。

国債は「日本円で返す」と約束されています。

もし借金が多すぎると…

「返せないなら、日本円をたくさん刷って返すんじゃないか?」

「そうすると円の価値が下がるのでは?」

と考える人が出てきます。

こうした見方が広がると、

円を持ちたくない → 円を売る → 円安になる

ということが起きます。

つまり、通貨の信用が下がるのです。

理由③金利が高くなる

国債が大量に発行されると、国債の金利も、銀行の金利も高くなります。

国債の金利が高くなる

国債の金利が下がる理由は、買ってくれる人を増やすために、利子を多く払わないといけないからです。

お金を借りる時、「もっと利子をつけるから貸して!」と言うことで、お金を貸してくれる人を増やすためです。

今まで政府は、国内の人からお金を借りていました。しかし、国内には限界があります。「もうこれ以上、国民から借りるのは難しい」という状態も来るかもしれません。

国内から借りられないときは、海外からお金を借りるしかありません

しかし、海外の人たちは、危険な国の国債は買いたくありません。

そんな状況で、国債を買ってくれる人を集めるために、金利を上げるのです。

ハイリスクでも、ハイリターンなら、その国債を買ってくれる人が増えるのです。

金利が高くなるのは、日本政府にとっては負担になります。

金利が上がるということは、政府が払う利子が増えるということだからです。

利子をもらう側にとってはおトクだけど、払う側にとっては負担になってしまいます。

国債が増えると、税金の一部が利払いに消えていくことになります。

銀行の金利が高くなる

また、銀行の金利も高くなっていきます。

その理由は、お金を貸す人たちが、より条件がいい方に貸そうとするからです。

投資家の目線から考えていきます。

「政府に100万円を貸したら、5万円増えるけど、銀行にお金を預けたら、10円しか増えない」

と言われてしまったら、どっちにお金を使いますか?

その場合は、「じゃあ、国債を買った方がおトクだ!」と感じます。

すると、多くの人が銀行から預金を引き出して、国債を買おうとします。

銀行は預金を集められなくなってしまうのです。

銀行が預金を集めるためには、国債の金利と同等以上の条件を提示する必要があります。

つまり、預金金利を引き上げなければいけないのです。

銀行の金利が高いと、企業は銀行からお金が借りづらくなります。

そのため、設備投資が減って、景気が悪くなってしまうのです。

タイトルとURLをコピーしました