【大学生向け】フリードマンが考える財政政策のデメリットとは?イラストで分かりやすく解説

フリードマン
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政府がお金を使っても無駄になるかも

政府がお金を使うことを「政府の支出」と言います。

ケインズは、政府が支出を増やすと景気をよくすることができると考えました。

一方で、フリードマンは、政府の支出を増やしても、景気を良くする効果はないかもしれないと考えました。

なぜ、そのように考えたのか、みていきます。

ケインズの意見

例えば、政府が100ドルのお金を使うとします。

政府がお金を払うことは、そのお金を受け取る国民がいるということです。

100ドルを受け取った国民は、買い物をするかもしれません。

買い物をしたら、お店の人にお金を払います。

お金を払う人がいたら、店員はお金を受け取ります。

Aさんがお金を使えば、Bさんが儲かるということです。

お店が儲かったら、そのお店はさらに原材料を買ったり、労働者の給料をあげたりします。

お金を受け取った人がお金を使い、そこでお金を受けとった人がお金を使うということです。

このように、無限に繰り返していけば

政府が支出を100ドル増やしただけで、最終的にはいろんなお金が回ることになります。

これがケインズの乗数理論です。

フリードマンの意見

しかし、このケインズの意見には見落としがあるとフリードマンは考えました。

フリードマンは、政府がお金を使うと、国民がお金を使わなくなるかもしれないと考えました。

先ほどの例では、政府が何に100ドルを使うのかが問題になってきます。

例1

例えば、国民が公園の入園料に100ドルを払っていたとします。

この100ドルは、管理人の給料になります。

政府がこれを肩代わりし、国民には公園を無料で解放したとします。

すると、管理人は以前と同じく100ドルの給料をもらいます。

一方で、それまで100ドル払っていた国民は、その分だけ手元に残ることになります。

この時、政府の支出は、誰の所得も増やしていません。

国民が手持ちの100ドルを公園以外のことに使えるようになっただけです。

国民は、100ドルおトクになったので、この100ドルで買い物もできるし、貯金もできます。

買い物をした場合は、お金が回るので、経済が活性化します。

一方で、国民がその100ドルを全て貯金してしまう可能性もあります。

貯金されてしまうと、お金が回らないので、景気が良くなりません。

フリードマンは「国民が浮いたお金を貯金してしまったら意味がない」と主張しました。

あるものが、ただで手に入った時に、浮いた自分のお金を、別のものの購入に使うとは限らない。

フリードマン『資本主義と自由』

貯金をする人が増えると、景気が悪くなります。

政府がお金を使った分、貯金する人が増えるだけだったら、乗数効果はなくなります。

このことから、フリードマンは、「政府が100ドル支出を増やすと、民間支出が100ドル減る」と主張しました。

例2

もう一つ、別の例で考えてみます。

政府が道路を作るために100ドル払うとします。

この道路は、政府がやらなければ、ある民間会社がやるつもりだったとします。

または、道路ができていれば、その会社のトラックは痛まなくなるので、修理費が浮くとします。

政府が代わりに払ってくれれば、その会社は道路にお金を払う必要がなくなります。

お金が浮きます。

その浮いたお金を、他の買い物をするために使うかもしれませんが、貯金するかもしれません。

もし貯金した場合は、経済は回りません。

政府がお金を使うと、その分、国民がお金を使わずに済んでしまいます。

このように考えると、国民が今まで払っていたものを「政府が肩代わりしてあげる」というやり方は良くないようです。

政府がお金を使う代わりに、国民がお金を使わなくなってしまうからです。

この話をした後、フリードマンは皮肉を言っています。

「政府がお金を使う代わりに、国民がお金を使わなくなる」ということを防ぐには、国民が必要としてないものを作るほうがいい。

例えば、穴を掘って埋めるような意味のない仕事である。

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