フリードマンが「政府介入は失敗する」と考えた理由をイラストでわかりやすく解説

フリードマン
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鉄道の規制

まず、鉄道の規制についてです。

鉄道の規制は、消費者を守るために、作られました。

たとえば、料金の上限を決めたり、安全基準を設けたりすることで、消費者が損をしないようにすることが目的でした。

しかし、時間が経つにつれて、この規制は鉄道業界自身にとって有利なものに変わってしまいました。

たとえば、新しい運送手段(例:トラック)や企業が鉄道業界に参入しようとすると、規制によって妨げられることがありました。

また、結果として、競争がなくなり、価格が高止まりしたり、サービスの質が改善されなかったりしました。

消費者を守るはずだったこの規制は、あっという間にトラックなど新たな参入者から鉄道を守る規制にすり替わってしまったと、フリードマンは言います。

所得税

次に、所得税についてです。

所得税は、累進課税のやり方になっています。

累進課税とは、たくさん稼いでいる人から、たくんさんの税金をとるやり方です。

たくさん稼いでる人は、たくさんの所得税を払います。

あまり稼いでいない人は、あまり所得税を払いません。

これも目的は、所得の多い人からたくさん税金を取り、貧しい人への福祉に使うためです。

つまり、お金の再分配を目的としています。

しかし、実際にはお金持ちは税の抜け穴(節税策や控除など)を使って課税を回避できてしまいます。

そのため、真面目に税金を払っている中間層や一般労働者が損をしていて、むしろ不公平になっていると、フリードマンは考えました。

法人税

次に、法人税についてです。

会社が払う税金を法人税と言います。

会社にも課税することで、社会的責任を果たさせたり、その税金を社会福祉やインフラに使う目的で、法人税が存在しているます。

しかし、法人税があることで、企業の成長の妨げになると、フリードマンは言います。

金融制度改革(連邦準備制度)

中央銀行に、裁量的な金融政策をお任せしてしまうと、上手にできなくて、大恐慌の元凶になってしまうことがあります。

そのため、景気対策は、中央銀行にお任せしないで、ルールを作って行うべきだと、フリードマンは言います。

ミルトン・フリードマンは、アメリカの経済学者です。

フリードマンとその弟子たちは「シカゴ学派」と呼ばれています。

フリードマンは、政府が市場に介入するのは、良くないと考えました。

どのような考え方だったのか、見ていきます。

農産物の買取り保障価格制度

次に農産物の買い取り保証価格制度についてです。

アメリカやヨーロッパでは、農産物の買い取り保証価格制度というものがあります。

これは、農産物の値段が非常に安くなってしまったら、政府が買い上げて、農家を守ろう、という制度です。

日本でも、民主党の農業者戸別所得補償制度という制策があります。

農業者戸別所得補償制度とは、米などを生産する農家が赤字になったら、政府が最低保証価格を補償するという制度です。

しかし、フリードマンはこういった政策は、良くないと考えました。

なぜなら、農産物を大量に出荷しているお金持ちの農家は、この制度によって余計に儲けることができてしまうからです。

また、その一方で、貧しい農家は、そもそも出荷している農産物が少ないため

それを買い取っても、貧しい農家を助けることはできないと、フリードマンは考えました。

輸入関税・輸出制限

次に、輸入関税についてです。

関税とは、外国からのものが輸入される時に、輸入業者からもらう税金のことです。

関税があると、海外から輸入したものを国内で売ろうとする時に、値段が高くなるので、国内の業者を守ることができます。

例えば、米や小麦が海外から非常に安い値段で入ってきてしまうと、日本の農家が打撃を受けます

そのため、関税が必要なのです。

または、海外から入ってくる自動車に高い関税をかければ、多くの人は国産車を買うようになります

国内の産業を守るために、作られたのが、輸入関税なのです。

逆に、どんどん輸出をされてしまうと、国内でものが不足したり値段が高くなってしまったりするため、輸出を制限しようという輸出制限もあります。

しかし、フリードマンは、関税を批判しました。

理由は、輸入関税をかけることによって、海外の安くていいものが国内で高くなってしまうと

消費者のいいものを安く買う権利が奪われるからです。

また、もう一つの理由は、輸入関税をかけなければ守れないような産業は非常に効率が悪いということです。

効率が悪い産業を残すことは、資源の最適配分になりません。

つまり、効率が悪い産業は、潰れてしまっても仕方がないのです。

あるいは、潰れないように効率的な経営をし、切磋琢磨することによって外国の企業に負けないような産業を作るようにする必要があります。

そのため、フリードマンは関税を批判しました。

家賃統制

家賃統制とは、国や地方自治体が、「家賃をいきなり上げてはいけない」と統制することです。

例えば、物価がどんどん上がって土地代が上がってきた時に、大家さんがアパートの家賃を、いきなり2倍にします、と言ったら困ります。

そこで、例えばの話、10畳のアパートだったら8万円を上限とする、というふうに家賃を統制することで、その部屋を借りている人の権利を守ろうというものです。

 

家賃統制は、部屋を借りてる人を守るためにあります。

その理由は、ニューヨークでは、家賃が住む人を搾取している現状があるからです。

ニューヨークでは、家賃がものすごく高いです。

その理由は、空き家がほとんどないからです。

空き家がほとんどなくて、家を借りたい人はたくさんいます。

そんな状況だと、家賃が高くても、ほかに借りれる部屋がありません。

そのため、部屋を借りる人たちは、高い家賃を我慢するしかないのです。

忘れてはならないのは、大家さんというのは、働かずにお金を稼いでいる人たちです。

家賃は「不労所得(働かずに得るお金)」です。

部屋を借りている人たちは、アルバイトなどの労働をして、家賃を払っています。

一方で、大家さんは、寝ながらお金を稼いでいます。

家賃が高くなるということは、お金持ちが、さらにお金持ちになるということなのです。

そのような状況があるにもかかわらず、フリードマンは、家賃統制は良くないと考えました。

なぜなら、家賃統制をすると、大家さんはそれ以上、儲けることができないからです。

大家さんにしてみれば、家賃をあまり上げてはダメだということになると、儲からなくなります。

儲からなくなると、部屋をきれいに保とうというモチベーションが無くなってしまうのです。

大家さんは「部屋はどうでもいいや」「どこか壊れていてもいいや」と考えるようになります。

逆に家賃が儲かれば、アパートやマンションの建設が増えていきます。

もし、新規参入によって供給が増えれば、やがて需要と供給が釣り合って、値段が下がっていくことになります。

そのため、フリードマンは、統制をする必要はないとしました。

最低賃金制度

最低賃金制度というものが日本にもあります。

最低賃金制度とは、国が決めている賃金の最低額(時給)のことです。

人を雇った時は、その最低賃金の金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。

この最低賃金より安い給料を労働者に払うのは法律違反です。

しかし、フリードマンは、最低賃金の制度も批判しました。

最低賃金を定めることで、雇用側がそれだけの給料を払えないよということになります。

そうすると「じゃあ雇用を控えよう」という話になり、失業者が増えてしまうことになってしまうのです。

世の中には「わずかな給料でもいいからとにかく働きたい」という人がいるかもしれません。

そのような人にとってみれは、最低賃金制度は邪魔になってしまうのです。

 

事業や職業に関する免許制度

フリードマンは、医師免許を例に挙げています。

例えば、日本では、医師免許がない人が医療行為をすると、医師法違反になります。

しかし、フリードマンは、免許制度のデメリットを挙げました。

免許制度のデメリットは、免許を持ってる人が、忙しくなりすぎてしまうことです。

治療全てに医師免許が必要ということになると、ちょっとしたケガでもお医者さん以外の人以外が診ることができません。

そうすると、お医者さんは細かい仕事に追われて、本当に医者でなければできないような重体な手術や治療ができなくなってしまいます。

そのため、フリードマンは、誰でも、自由に医療活動ができるようたほうがいいと考えました。

そして、もし、問題が起きてしまった場合には、過失致傷で裁判に訴えて取り締まればいいと考えました。

そちらの法律が充実していれば、きちんとした技術を持った、あるいは教育を受けた人が医療活動をやるようになるかもしれません。

そのため、医師免許なんていらない、と主張しました。

たしかに、免許がある人からは、質の高いサービスが受けれるような気がします。

しかし、免許を持ってても、上手に仕事ができない人はいます。

免許制度がなくなれば、自由競争になるので、一生懸命に技術を向上するようになるだろう、とフリードマンは考えたのです。

なぜ政府の政策は、失敗するのか

なぜ政府の政策は、失敗するのでしょうか。

それは、当事者の価値観ではなく、第三者の価値観に基づいて政策が作られているからです。

つまり、「これがあなたのため」と価値を押し付ける構図になってしまっています。

その結果、反撃が起き、思い通りにいかなくなる、とフリードマンは考えました。

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