なぜ累進課税が必要なのか?累進課税の必要性についてイラストで分かりやすく解説

公民
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累進課税

累進課税とは、稼げば稼いだだけ、たくさん政府に税金を納める仕組みことです。

お金を稼いでいる人が税金をたくさん納めるべきだ、という考え方です。

日本では、所得税、相続税、贈与税が累進課税です。

所得税は、お金を稼いだ時に税金を納める仕組みのことです。

たくさん稼ぐほど、たくさんの税金を納めます。


相続税は、親が死んでしまった時に、親のお金が子どものものになるので、そのタイミングで払うお金です。

親が残した財産が多いほど、たくさんの税金を納めます。

贈与税とは、生きてる人から財産をもらった時に払う税金のことです。

累進課税の現状

現在の日本では、トップ6%のお金持ちが、40%の税金を納めています。

お金持ちの人がたくさん税金を納めてくれていることがわかります。

年収が195万円以下の人は、税金は5%だけです。

一方で、年間4000万円を稼いだら、半分近くが税金として国に取られます。

お金持ちからの不満

お金をたくさん稼いでいる人の中には「なんで、頑張って稼いだのに、税金として取られないといけないんだ」と不満に思う人もいます。

なぜ、お金持ちがたくさんの税金を納めないといけないとでしょうか?

その理由を、経済学的に解説します。

お金持ちが増えることの景気への悪影響

お金をたくさん稼ぐと、買い物がたくさんできるようになりますが、それが景気への悪影響になる場合があります。

お金があると、買い物がたくさんできます。

これを「購買力」と言います。

お金を持っている人は、購買力があります。

あれも欲しい!これも欲しい!と感じたら、どんどん買うことができます。

購買力が上がると、お店のモノがどんどん売れていきます。

「クルマが欲しい」「カバンが欲しい」「アニメグッズが欲しい」と言ってたくさん買い物をします。

お店の商品をたくさん買う人がいることは、お店にとっては嬉しいことです。

お店が儲かるからです。

しかし、その分、早く商品を作らないといけません。

商品を作ることを「供給」と言います。

たくさんの人が、たくさん買い物をすると、供給が間に合わない時もあります。

お店の供給が追いつかないときは、品が不足していきます。

こんな時は、お客さんが商品を奪い合う状況になります。

商品が高くても売れるようになります。

そのため、商品の値段上がります。

物価がどんどん上がることを、インフレと言います。

人々がたくさん商品を買いすぎてしまうと、インフレを引き起こします。

インフレは、危険です。

インフレを防ぐためにも、人々の購買力を抑えないといけません。

インフレーションの危険性

では、なぜインフレが危険なのでしょうか?

インフレとは、商品の値段がどんどん上がっている状態のことです。

例えば、あなたの推しのフィギュアが売っているとします。

そのフィギュアは、去年は500円でした。

なのに、先月は1000円でした。

しかも、今月は、2000円になっていました。

そしたら、来月はいくらになるでしょうか?

どんどん値上がりをしてるのを見たら

「来月には、もっと値段が上がるもしれない」と焦ります。

来月、値上げをするのであれば、今のうちに買ってしまう方が、まだマシです。

「今すぐ買おう」と考えます。

このように、将来もインフレが続くと予想すると「お金は貯めるよりも、使う方が得だ」と思うようになります。

こうなると、人々は、お金をどんどん使うので、お店のものがガンガン売れる状況になります。

お店の供給が追いつかず、品不足になります。

そして、商品は、高くても売れるようになり、インフレが加速します。

お客さんは、パニックになりながら「これ以上、値上がりする前に買い物をしないといけない!!」と焦ることになります。

お金持ちの人が高い値段を払って買い物をしてると、物価がどんどん高くなってしまう危険性があるのです。

これを、ハイパー・インフレと言います。

一度、ハイパー・インフレになると、元の状態に戻すのは大変です。

そのため、あらかじめ、インフレを加速させない工夫が必要です。

その工夫の一つが累進課税です。

累進課税が必要な理由

累進課税とは、お金をたくさん稼ぐほどに、たくさんの税金を納める制度のことです。

税金が増えれば、その分、購買力が落ちます。

これのおかげで、インフレが加速することを防ぐことができます。

お金をたくさん稼いだ人が税金をたくさん納めないといけない理由は、インフレが加速することを防ぐためです。

累進課税だと、給料が増えても、手元にお金が残りにくいです。

手元に残るお金が減らされることによって、購買力も抑えることができます。

このようにして、景気が過熱するのを抑えています。

ビルトイン・スタビライザー

累進課税のように、景気を安定させる役割がある制度のことを「ビルトイン・スタビライザー」と言います。

累進課税とは、お金をたくさん稼ぐと税率が高まる仕組みです。

お金を稼いで、購買力が上がったタイミングで、税率を上げることで、消費の拡大を抑制させています。

それでは、そんな累進課税のメリットとデメリットを見ていきます。

累進課税のメリット

累進課税のメリットは、貧困の格差を改善できるという点です。

お金を稼いでいる人ほど、たくさん税金を多く納めるので、貧富の格差を改善できます。 

お金を持っている人は、税金をたくさん納めても、生活に困りません。

そのため、公平な課税制度だと言えます。

累進課税のデメリット

累進課税のデメリットの一つ目は、お金を稼いでいる人からは不満が出るというものです。

もし、日本が累進課税が強すぎる国になってしまうと、日本が嫌になって、海外に逃げる人もいるかもしれません。

このようなことは、現在、世界中で心配されています。

それを防ぐためには、世界で統一した税金のルールが必要だと、フランスの経済学者のトマピケティは主張しています。

また、人によっては「税金が高くならないように所得を減らそう」と考える場合があります。

しかし、この考え方は、間違っているというアメリカの経済学者もいます。

なぜなら、実際に累進課税が導入される前と後とで、人々の労働量は変わっていないからです。

例えば、あなたが働いているとします。

もし、累進課税が導入されたとして、そのとたん働くモチベーションが落ちて、退職届を出すでしょうか?

そんなことは起きないはずです。

一方で、日本では、働けるにもかかわらず働くのを控えるパートタイマーがいます。

所得が一定額を超えることによって所得税の負担が生じることと、扶養控除や配偶者控除の対象から外れることを避けるためです。

累進課税がなくなった場合、少しだけですが、働く人が増えるというのは事実かもしれません。

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