日本には国の借金が1100兆円あります。
「このまま国債をたくさん発行し、借金を続けると、財政が破綻する可能性がある」と主張する人もいます。
しかし、「日本は、大丈夫だ」と主張する人もいます。
どのような意見なのでしょうか?
詳しく見ていきます。
国債
まず投資家の目線から考えます。
国債とは、「国にお金を貸して、満期まで待つと、お金を増やして返してくれる仕組み」のことです。

投資家は「貸したお金が返ってくる」と信じているから、お金を貸します。
必ずお金が返ってくるという前提の上で、国債を買います。
もし、政府がお金を返せそうにない状況にあれば、国債を買いません。

大事な点は、政府がお金を返してくれるだろうという「信頼」があるから、お金を貸す(国債を買う)ということです。
もし、信頼が落ちると、国債は売れなくなります。
借金が多いと、国債は売れなくなる
国債を発行するということは、借金をするということです。
政府があまりにたくさんの国債を発行すると、だんだん国債が売れなくなります。
その理由は、「こんなにたくさんの国債を発行してるなら、きっと政府はお金を返せなくなるだろう」と思われてしまうからです。

投資家にとって1番イヤなのは、政府に「お金を返せない」と言われてしまって、貸したお金がゼロになってしまうことです。
そうなる危険性があるなら、国債を買いません。
借金が多すぎる人には、お金を貸さない方がいいのです。

今の日本の政府は、税金で集めたお金だけだとやっていけません。
そのため、国債でお金を集めています。

国債のためにお金を払ってくれる人がいなくなったら大変です。
国債を誰も買ってくれなくなると、お金が集まらなくなります。
そしたら、国を運営できなくなって、大学が休校になったり、学校の先生の給料が下がったり、道路の修理ができなくなったり、いろんな大変なことが起きます。
今の政府は、使うお金の3分の1を国債の発行でまかなっています。
例えるなら、月収30万円の人が、20万円づつ借金しなから、月に50万円かかる生活をしているようなものです。

しかも、いま、政府は、新しい借金で、古い借金を返しています。
新しく国債を発行できなくなったら、昔の国債の返済もできなくなるかもしれません。
国債の返済ができない(借りたお金が返せない)状態を財政破綻といいます。

日本が財政破綻しない理由
しかし、そんな深刻な状況はまだ起きていません。
いまも、日本の国債は、問題なく売れ続けています。
なぜ日本の国債は売れるのでしょうか?

その理由は、日本の場合は、銀行が国債を買っているからです。
日本の銀行には、約1600兆円あると言われています。
これは、私たちが預けているお金です。
ザックリ言えば、このお金の一部を使って、国債が発行されている、というわけです。
銀行が国債を購入
しかし、銀行も、無限にお金を持っているわけではありません。
では、国債はいくらまで発行し続けることができるのでしょうか?
今まで、日本政府は、1100兆円の国債を発行してきました。
銀行にあるお金は約1600兆円です。
だから、「あと数年で国債を買えなくなる」と焦っている人もいます。
しかし、「大丈夫」と主張する人もいます。
その理由は、信用創造でお金を生み出しているからです。
信用創造
信用創造については、こちらの記事をご覧ください。
これを簡単に説明するためには、どうしたらいいのか迷ったので、ChatGPTの力を借ります。
信用創造とは、ChatGPTによると
「日本銀行」が、「よし、お金をつくろう!」って決めて、コンピューターのボタンをぽちっ!と押すことで、お金が生まれるしくみのこと
とのことです。
銀行が国債を買う時は、お金が必要です。
そのお金は、信用創造によって、作られています。
だから「まだまだ国債を発行しても大丈夫」「もっと政府がお金を使ってもいい」と考えている人もいます。
お金は、信用創造で無限に作れるので、問題ない、というわけです。

本当に、無限にお金を作れるのか?
銀行は、信用創造という仕組みを使って、無限にお金をつくれます。
理論上は、無限につくれます。
しかし、現実では、「無限に」国債を発行できるわけではない理由があります。
その理由を紹介します。
①インフレになってしまう
お金をたくさん刷ると、インフレが起きてしまいます。
インフレになれば、お店のモノの値段が上がり、買えるモノの量が減ってしまいます。
すると、いままで貯金をしていた人にとっては、ソンです。
例えば、たくさん頑張って、100万円を貯めた人がいます。
しかし、パンが1個10万円になってしまったら、100万円があっても、パン10個しか買えません。
インフレになると、いままで貯金を頑張ってきた人にとって、ソンなのです。
さらに、会社もお店も不安になって、働く人を雇えなくなることもあります。
②信用が下がる
また、国債をたくさん発行すると、信用が落ちてしまいます。
ふだん使っている「お金(日本円)」や、「国の借金の約束(国債)」は、
「この国はちゃんとお金を返してくれるかな?」という信じる気持ちで成り立っています。
しかし、国債をたくさん発行すると、「この国、ほんとうに大丈夫かな? ちゃんと返せるのかな…?」と、心配する人が増えてしまいます。
そうなると、国債の人気が下がります。
そして、「もっとたくさん利子をつけないと買わないよ!」と人々が言いはじめ、お金を借りるときの利子が急に高くなることがあります。
③円安になってしまう
政府が国債をむやみに、たくさん発行すると、日本銀行が、どんどんお金を作ることになります。
すると、「日本円は、ちょっとあぶないかも」と思う人が増えて、円安になる可能性があります。
円安になると、海外から買う石油や小麦などの値段が上がってしまいます。
そうすると、それに関わるガソリンやパンなど、いろいろなモノの値段が高くなります。
つまり、買えるモノの量が減ってしまう可能性があります。
「技術的・理論的には、国債を無限に発行し、中央銀行がそれを買い支えることは可能」ですが、
実際には、いろんな理由によって「無限の国債発行」は現実的ではない、と考えられています。
誰に国債を売ればいいのか
じゃあ、もし銀行が国債を買えなくなった場合は、誰に国債を売ればいいのでしょうか。
方法の一つは、「外国人に国債を買ってもらう」というのがあります。
今でも、国債の7.1%を外国人が買っています。
今後、国内で国債を売れなくなると、日本政府が外国の人に「買ってください」のお願いすることになるかもしれません。