景気を良くする必殺技があります。
それは、銀行の金利を下げることです。
しかし、日本には、この必殺技が効きませんでした。
なぜでしょうか。
詳しく見ていきます。
景気を良くする方法
まずは、金利が下がることで景気が良くなる仕組みから説明していきます。
金利とは、銀行からお金を借りた人が、銀行に払わないといけないお金のことです。
お金を借りた時、増やして返すのが大人のルールです。
この増える分のことを金利と言います。

金利が高いと、お金を返すのが大変です。
金利が高いと、返さないといけないお金が増えるからです。
金利が高いときにお金を借りてしまうと「お金を返しても、返しても、終わらない」となってしまうのです。

金利が高いと大変です。
一方で、金利が低い方が負担が少ないです。
金利が低いほうが、お金を借りやすいです。
例えば
・借りたお金で会社を作る
・借りたお金で家を建てる
などのことがしやすくなります。

金利が低いとお金が借りやすいのです。
また、銀行の金利が下がると、住宅ローンの金利も下がります。
すると、家を買う人は「とても負担が軽くなる」と感じます。

負担が軽くなると、お金を借りる量を増やして、予定していたよりもう少し大きい家を手に入れることもできます。
月々の返済額は収入の2割以下が原則です。
金利が低くなると、低くなった分だけ毎月の返済金額が少なくなるので、借りることができる金額が増えます。
家を買う人が増えると、ついでに、キッチンや家具や庭のデコレーションなどを買う人も増えます。
すると、家電屋さんや家具屋さんの商品がもっと売れるようになります。

このように、買い物をする人が増えると、儲かる人も増えます。

Aさんがお金を使えば、Bさんのお店が儲かります。
また、企業も、予定していた買い物を前倒しで行います。
コピー機やレジの機械など、必要な設備を買います。
すると、コピー機などを作っている機械メーカーは儲かります。
また、機械メーカーは、より多くの機械を作るために、人を雇います。
その会社で働いている人たちの給料は増え、給料をもらった人たちは、たくさん買い物をします。
こうして、個人の消費が増えていきます。
これが、金利を下げることによって得られる効果です。
さらに、お店を大きくしたり、工場を建てたりします。
例えば「店を1店舗から10店舗に増やそう」と考えます。
そしたら、もっとお客さんに商品を提供することができて、儲かるからです。

金利が低いうちにお金を借りてしまえば、すごくお得です。
金利が低いというのは、素晴らしいチャンスなわけです。

これが、金利が下がることで景気が良くなっていく仕組みです。

日本は例外
しかし、日本の場合は、金利を低くしても、景気が良くなりませんでした。
日本の問題点は、「借りようと思う人が少ない」ことです。

ソンとか、トクとか、そんな話の前に
まず「不安」なのです。

気持ちが不安でいっぱいの時は、いくら「おトクだよ」と言われたところで
借金をして家を買うなんて、やめておこう
と考える人がほとんどです。
また、企業も、借金してお店を作ったところで、そんなにお客さんが来ないことを、分かっています。
みんなの節約思考が強いから、お店を増やしても、お客さんは来ない。

人口も減っているから、国内市場が大きく伸びるとは思えない。
儲かる見込みがないなら、お金を借りません。

そしたら、借金してまで、何かをしようという気持ちにはなりません。
金利をほぼゼロまで下げても企業や家計がお金を借りず、景気が回復しないということが続いたのです。
アベノミクス
アベノミクスの中心政策の一つが、金利を低くすることでした。
アベノミクス(2013年~)の「三本の矢」の一つがこれでした。
もともと「日本は低金利にしても景気が良くならない」と言われていましたが
アベノミクスは
「それでも、さらに大規模にやれば効果が出るのではないか」という発想で実施されました。
しかし、金利が既にかなり低く、追加の引き下げ余地が小さかったので、効果は限定的でした。
今の日本
しかし、今の日本は金利が低いのに、景気が良くなりません。
その理由は、企業はお金を持ってるのに、設備投資もしないし、従業員の給料も増やさないからです。
もし、企業にお金がなければ、銀行の金利が下がったタイミングで「お金を借りよう」となります。
しかし、今の日本の企業は、これまでに稼いだお金を自分で溜め込んでいます。
企業のお金は余っているのです。
日本の企業の場合、お金が余っているため、銀行の金利が下がっても、何も変化が起きないのです。
日本の問題
日本の問題は「お店を大きくするお金がないこと」ではなくて「お店を大きくしても、売れる見込みがないこと」です。
お店を大きくしても、お客さんが少ないので、商品が売れることが期待できないのです。
企業は、お金を使わずに、持っているだけです。
そのため、経済が回らず、景気が良くなりません。
つまり、今の日本で、金融政策の効果がなくなってしまっているのです。

そもそも、金融政策とは、人々が「早めに買い物をする」という効果を得られる政策です。
銀行の金利が下がると、「今のうちに買い物をしないといけない」という気持ちになります。
早めに古い機械を捨てて、新しい機械を購入します。
早めに新しい機械に切り替えているのです。
つまり、将来、予定していた買い物を「今する」というだけで、繰り上げるだけなのです。
つまり、その分だけ未来の買い物は減ります。
これは、長い目で見れば、消費(買い物する量)が増えているわけではなりません。
消費を前倒ししてるだけです。
今、買った分、後で買わなくなるのです。
一方で、財政政策は、新しいお金を生み出します。
財政政策を行えば、仕事をもらう人が増えて、その人たちは給料をもらいます。
道路を作るにしても、これまでなかった新しい仕事を作り出すってことだ
だから、国民にお金が行き渡るのです。
日本銀行が、利上げできない理由
金利を上げることを「利上げ」と言います。

日本銀行が利上げできない理由は、2つあります。
一つ目に、企業が潰れてしまうからです。
低金利のおかげで、本来なら潰れてるはずの会社が生き残ってきました。
ほぼ金利ゼロでお金が借りられるため、業績が悪い会社も残り続けてたのです。
このような会社は、少しでも金利が上昇し始めたタイミングで倒れる可能性が高いです。
もし、今の状況で利上げを行うと、今までギリギリで生きてた会社が、バタバタと倒れる可能性があります。
二つ目に、悪いインフレが起きているからです。
インフレには、「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
「良いインフレ」は、商品を買いたいお客さんが多くて、商品が良く売れる時におきます。
一方で、「悪いインフレ」は、輸入品の値段が上がり、原材料のコストが高くなることで起きるインフレです。
今は、悪いインフレが起きているので、利上げしようがないのです。

