金融政策は、お風呂に水をいれるみたいなものです。

お金の量が、多すぎてもダメだし、少なすぎてもダメです。
お金が少なすぎたのが、世界恐慌です。
また、お金を入れすぎてしまったのが、ケインズです。
これを見たフリードマンは、「裁量的な(当てずっぽうな)金融政策では、うまくいかない」と言いました。

このように金融政策は、さじ加減が難しいので、裁量的にやらない方がいいです。
新自由主義者のフリードマンは、「ルールだけ作って、そのあとは、放っておけばいい」と主張しています。
「変に余計なことをして、景気を悪化させるくらいなら、放っておく方がマシだ」という考え方です。
フリードマンは、金融政策はルールに基づいてやるべきだと、主張しました。

裁量的金融政策
「裁量的」というのは、当てずっぽうに余計なことをする、という意味です。
世界恐慌もケインズ政策の失敗も、中央銀行が余計なことをしたせいで状況が悪化した、とフリードマンは主張します。
それぞれの詳しい状況を見ていきます。
世界恐慌
1929年、ニューヨークで株価が暴落し、この後、深刻な世界恐慌がおきました。
景気が悪くなった時、中央銀行は、国のお金の量を減らしました。
本来は、もっとお金を増やすべきだったのに、間違えてお金の量を減らしてしまって、不景気を悪化させてしまったのです。

お金の量が少なければ、経済活動に必要なお金の量が不足し、景気は悪くなります。
アメリカの中央銀行が、世の中のお金の量を減らしたせいで、景気が悪化したのです。
つまり、世界恐慌は、中央銀行の人の判断ミスが原因だと、フリードマンは主張しました。
ケインズ政策
世界恐慌の後、ケインズ政策が人気になりました。
ケインズ政策とは、買い物をする人を増やす作戦です。
買い物をする人がいれば、その分、お店は儲かります。そのため、景気が良くなっていきます。

買い物をする人を増やす方法は、国民にお金をバラ撒くことです。
国民がみんなお金を手に入れたら、みんながお金持ちになって、買い物をするようになります。

だから、国民の給料を高くして、買い物をする人を増やそうとしました。
ケインズのメインの主張は、「国民の給料を増やそう」というものです。

しかし、フリードマンは、ケインズ政策を批判しました。
なぜなら、ケインズのやり方では、長期的には、インフレになってしまったからです。

ケインズ政策は、国民の給料を増やすというものです。
給料が増えれば、たくさん買い物ができて嬉しいです。

給料が高くなれば、お金持ちになった気分になって、買い物をたくさんします。
しかし、みんなが一斉にお金持ちになると、商品は高くても売れるようになります。

モノが高くても売れるときは、モノの値段は高くなります。
お店の人が値段を高くするので、物価が上がります。
結局は、買い物できる量は変わらなくて、インフレになるだけだということです。
フリードマンの考え
ルールに基づく金融政策
フリードマンは、ルールに基づいた金融政策を提案しました。
「一定の増加率でお金を増やすべきだ」と言ったのです。

お金を供給し続ける理由
今まで、お風呂に喩えて話をしてきました。
お風呂だと、水を入れ続けたら、水が溢れます。
一方で、国には、お金を入れ続ける必要があります。
なぜなら、お金を入れ続けないと、デフレになるからです。

お金を刷らないと、勝手にデフレになります。
それは、モノの量が、技術革新で自然に増えていくからです。
モノの量が増えるのに、お金の量が増えないと、デフレになるのです。
マネタリズム
フリードマンは、お金の量を適切にコントロールすれば、インフレを防ぐことができるという考え方をしています。
こうした考えを「マネタリズム」といい、これを主張する人を「マネタリスト」と呼びます。
お金の量が多いとインフレになるけど、少ないとデフレになるから、ちょうどいい量のお金の量を供給しようということです。

K%ルール
「ちょうどいい量」とは、どれくらいでしょうか。
フリードマンは、通貨供給量を、毎年3〜5%程度、穏やかに増加させるようにするルールを作れば良いと考えました。
これをK%ルールと呼びました。