ケインズは、古典派を批判した人です。
古典派は「景気は、放っておけば、長期的には解決する」と言っていました。
一方で、ケインズは「長期的には我々は死んでいる」と言いました。
つまり、「短期的に解決していこう」ということです。
ケインズは、なぜそのように考えたのでしょうか?
詳しくみていきます。
長期的には解決する
古典派は「景気は長期的には解決する」と考えました。
長期的というのは、100年後とか、200年後とか、長い目で見るということです。
長い目で見れば、経済は発展するから、不景気は、ほっておけばいいと、古典派は考えました。

長期的には死んでいる
それに対してケインズは、「我々は長期的には死んでいる」と言いました。
人の寿命は、そんなに長くありません。
景気が悪いときは、失業率が高くなって、貧しくて生きていけない人があふれかえります。
その苦しむ人々を「放っておけばいい」というのは間違っていると、ケインズは主張しました。
つまり、短期的に解決しよう!ということです。

古典派の考え方
そもそも、なぜ古典派は「長期的には解決する」と考えていたのでしょうか?
古典派の考え方を紹介します。
まず、人は安いモノが好きです。
雇い主は、「労働者を安く雇いたい」と考えています。
人を安く雇えたらおトクなので、安く働いてくれる労働者を雇いたいと考えています。

もし、誰からも雇ってもらえない労働者がいれば、その人は「安くてもいいから働きます」とさえ言えば、雇ってくれる場所が見つかります。
例えば、「1円で働く」と言ってる人がいれば、きっと企業は、その人を雇いたくなります。
給料が下がれば、労働者を雇いたい企業が増えるのです。

当時は、失業者がたくさんいました。
働きたいのに誰からも雇ってもらえない人がたくさんいたのです。
企業は安く雇いたいのに、労働者が高く雇ってほしいと言い張っているなら、需要と供給が一致しません。

古典派の理屈では、給料が下がれば解決するのに、給料を下げることができないから、失業問題が解決できないと考えられていたのです。
例えば、会社が労働者の給料を下げようとすると、労働者が団結して、反対しました。
労働者から反発されてしまって、給料を下げたくても、下げれなかったのです。
つまり、景気がよくならない理由は「労働者がわがままだから」ということになります。
ケインズの考え方
ケインズは、そんな考え方の古典派を批判しました。
なぜなら、長期的には、我々は死んでしまうからです。
例えば、給料が1円のまま働き続けたら、いつかお腹が空いて死んでしまいます。
会社の売り上げが上がって給料が増えるまで、待ってられないのです。

景気がよくなるまで、1年かかるかもしれないし、100年かかるかもしれません。
たしかに、長期的に見たら、いつか解決するかもしれません。
でも「長期的には我々は死んでいる」のです。