ギリシャ危機とは?なぜデフォルトが懸念されたことで、国債の利回りが上がったのか?イラストで分かりやすく解説

国債

2009年頃から問題となった「ギリシャ危機」とは何なのか?

詳しくみていきます。

財政赤字とは

ギリシャ危機の始まりは、政府が、財政赤字を小さめに計算してたことが分かったという事件でした。

まず、財政赤字という言葉を説明します。

財政赤字とは、「政府のお金が足りない」という状態のことです。

通常であれば、政府は税金でお金を集めています。

しかし、税金が足りなかったり、政府がお金を使いすぎてしまうと、財政赤字になってしまいます。

ギリシャでは、本当は、財政赤字がたくさんあったのに、政府の人がウソをついて、小さめに見せていたことが発覚しました。

ウソをつかれたので、国民は、政府に対して、不信感が強くなりました。

政府の債務返済能力が疑われた

ギリシャでは、国民が政府への不信感を抱くようになってしまいました。

そして、不信感が強くなると、政府の債務返済能力が疑われるようになります。

債務返済能力とは、借りたお金を返すチカラのことです。

「政府が国債を投資家に売った」ということは、「政府が投資家からお金を借りている」ということです。

政府が使っているお金は、投資家から借りたお金です。

国債を買った投資家は、政府にお金を貸しています。

このお金は、「満期になれば返す」と約束されています。

投資家は、政府に約束を守ってもらいたいです。

しかし、政府への不信感が強まると、約束を守ってくれるのか心配になります。

「政府は、お金を返せないのではないか?」と投資家は疑ってしまうのです。

ここで、国債について説明します。

国債とは、お金と交換できる紙です。

政府は、国債を発行します。

そして、投資家が持ってるお金と交換します。

政府は、投資家から、お金をもらいます。

これは、お金を借りている状態です。

満期になったら、政府は、投資家にお金を返します。

満期になったらお金を返すことを「債務の返済」と言います。

政府にお金があれば「債務返済能力がある」となります。

政府にお金がなければ「債務返済能力がない」となります。

政府に信用があるうちは、投資家は、政府に債務返済能力があると信じています。

しかし、政府への信用が落ちてくると、「ちゃんとお金を返してくれるのか…?」と不安が大きくなります。

もし、たくさんの投資家が、「政府には債務を返済する能力がない」と判断すると、大変なことが起きます。

信用が落ちると国債を売りたい人が増える

国債への信用が落ちると、国債を売りたい投資家が増えます。

そもそも、国債を持っている投資家には、2つの選択肢があります。

「国債を満期まで持ち続けるのか」

それとも、「債券市場で売ってしまうのか」です。

国債は、債券市場で売ることもできるのです。

もし、満期まで持ち続けても、お金が返ってこないなら、債券市場で売ってしまう方がマシです。

投資家は、政府の債務返済能力を疑い始めると、債券市場で、国債を手放してしまうことが多いです。

これは、損をできるだけ小さく抑えるためなのです。

債券市場では、投資家どうしで国債が売買されています。

価格は、上がったり下がったりします。

売りたい人が多くて、買いたい人が少ない時は、国債の売買価格が下がります。

国債の売買価格が下がると、金利が上がる

国債の売買価格が下がると、金利が上がります。

金利という言葉は、2つの意味を表すことになってしまうので、整理します。

国債の金利というのは、「利子」ではなくて,「利回り」のことです。

まず、国債を買うと、利子をもらうことができます。この利子の大きさを金利ということがあります。

しかし、この記事での金利とは、「国債の利回り」のことです。

国債の利回りとは、国債でどれだけ儲けることができるのかということです。

国債で得をする方法は、安い売買価格で、高い利子率の国債を買うことです。

利子の大きさは、発行される時に決定されて、大きくなったり小さくなったりしません。

利子の大きさは、元本の○%と固定されています。

一方で、債券市場での売買価格は変化します。

債券市場で売買する時は、人気の時は価格が高くなり、人気がない時は価格が安くなります。

安く手に入れても,後でもらえる利子は額面価格の○%と固定しています。

そのため、債券市場で、国債を安く買えたら、それだけおトクになります。

このおトクかどうかのことを、「利回り」と呼びます。

売買価格が下がるほど、結果的に利回りが良くなります。

「債券の売買価格が安くて、おトクだと感じること」を、「金利が上がる」または「利回りが良くなる」と言います。

デフォルト

投資家は、政府に債務の返済能力がないと判断すると、国債を売り払ってしまいます。

その理由は、デフォルトが怖いからです。

デフォルトとは、国債がお金と交換できなくなる状態のことです。

デフォルトになると、国債はお金と交換できなくなります。

なぜなら、政府にお金がないからです。

お金がないなら、投資家にお金を返せないのです。

デフォルトと金利

人々が「デフォルトになるかもしれない」と予想すると、国債の金利(利回り)が上昇します。

その理由を見ていきます。

デフォルトになった場合の投資家の末路を考えてみます。

デフォルトが実際に起きたら、国債の価値はゼロになってしまいます。

しかし、デフォルトになる前に、国債を債券市場で売ってしまえば、多少のお金になります。

それなら、債券市場で売ってしまうほうがマシです。

この時、投資家は、「安くても売りたい」という気持ちになります。

そのため、債券市場での国債の価格はどんどん安くなります。

こうして、国債の価格は、安くなります。

国債を安く売る人がいるということは、国債を安く買ってる人がいるということです。

結果として、利回りは良くなります。

売買価格が上がったり下がったりするので、結果的に利回りが悪くなったりよくなったりするわけです。

金利が上がるということは、国債価格が下落することなのです。

デフォルトにはならない

一方で「デフォルトにはならない」と主張する人がいます。

そのような人たちは、「デフォルトにはならないから、国債を発行し続けよう」と主張しています。

デフォルトにはならない理由は、「国債を発行して返済すれば良いから」です。

国債とは、お金を生み出す紙です。

政府にお金がなくても、国債を発行して、お金を生み出せばいいのです。

お金を生み出し続ければ、お金がなくことはありません。

永遠に、国債を発行し続ければいいのです。

なぜギリシャ危機が起きたのか

それでは、なぜギリシャ危機が起きたのでしょうか?

それは、ギリシャは国債を新たに発行できなくなったからです。

ギリシャの場合、投資家のみんなが、国債を買わなくなりました。

国債を買ってくれる人がいなければ、国債を発行できないのです。

ギリシャは国債を新たに発行できなくなり、お金を生み出すことができなくなってしまいました。

日本の政府は破綻するか?

ギリシャでは、国債を買ってくれる人がいなくなり、新しい国債を発行することができなくなりました。

これと同じことが、日本では起こるのでしょうか?

日本の場合は、国債の半分を、日本銀行が買っています。

「だから、大丈夫だ」と主張する人もいます。

しかし、そうなると、日本銀行への信頼も落ちていきます。

日本銀行への信頼が落ちると、日本円が売られるようになります。

これが続くと、財政破綻につながります。

この問題については、「日本国債は円建てだから問題ない」と主張する人と、「日本政府の財政破綻を心配する人」に、意見が分かれています。

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