第一次世界大戦が終わった後「ブロック経済」というものが広がりました。
これは、第二次世界大戦が始まった原因とも言われています。
なぜブロック経済が第二次世界大戦のキッカケとなったのか、背景を見ていきます。

全体像
第一次世界大戦の後に「ブロック経済」が広まりました。
ブロック経済とは、仲間の国とだけ協力して、それ以外の国とは協力しない貿易のやり方のことです。
ブロック経済により、「仲間」がいる国は、なんとか助かりました。
一方で、仲間がいない国がない国は、大ピンチに陥りました。
(仲間というのは、植民地のことです。)
そして、仲間がいない国がない国は、仲間を手に入れるために、他国を侵略してしまったのです。
侵略した国というのが、ドイツ、日本、イタリアです。
これが第二次世界大戦に繋がっていきました。
第一次世界大戦後の世界
それでは、第一次世界大戦の時代まで、さかのぼります。
まず、第一次世界大戦が終わった直後についてです。
第一次世界大戦の後に、1番最初に豊かになったのはアメリカです。
アメリカは、第一次世界大戦で戦場とならなかったため、第一次世界大戦後、世界経済の中心となりました。

アメリカは、 周りへの影響力が強かったのです。
しかし、1929年、大変なことがおきます。
アメリカの株式市場で株価が大暴落し、みんなが貧しくなってしまいました。
その貧さの連鎖は、世界中に広がり、世界中の国が貧困に苦しむことになりました。
この時の貧しい状態のことを「世界恐慌」と呼びます。
世界恐慌
世界恐慌の時、みんなが貧しくなり、お店は儲からなくなっていました。
お店が儲からない時は、お店で働いている人の給料を減らすことになります。
なぜなら、お店にお金がなければ、働いてる人にお金(給料)を与えることができないからです。
自分の国を守るために
こんな大変な状況になると、自分の国を守るために、当時の人々はこう考えました。
「自分の国からお金が出ていくことを避けなければならない」
お金がない時は、自分の国の中でお金を回すべきで、国外にお金を流失させることは、避けないといけないのです。
例えば、隣の国のワインを買うとします。
その時は、ワインを手に入れるのと同時に、隣の国にお金をあげることになります。
これは「輸入」と呼ばれる行為です。
「輸入」とは、隣の国が儲かる行動です。
輸入をたくさんすれば、自分の国が貧しくなります。
そのため、当時の国々は、輸入を嫌がるようになりました。
しかし、さらなる問題が
しかし、さらなる問題が起きました。
全ての国が、お互いに、輸入を嫌がったので、さらに貧しくなってしまったのです。
なぜなら、「A国が輸入を嫌がる」と「B国は儲からなくなる」からです。

世界中の国が輸入を止めれば、輸出もできなくなります。
みんなが「輸出だけして、輸入をしない」なんてことは、できないのです。
そして、結果
お互いが儲からなくなってしまい、不景気がさらに悪化しました。

お互いに、「海外から買いたくない」と言い合うと、「海外のお客さんに自国の商品を買ってもらえなくなる」のです。
つまり、お互いに輸入を止めると、輸出も止まります。
そうしたら、今まで輸出をして稼いでいた人が、お金を稼げなくなります。
こうして、お互いが貧しくなってしまったのです。
仲間だけで貿易
イギリスや、フランスのような、仲間がいる国は、仲間だけで貿易をするようになりました。
これを「ブロック経済」と呼びます。
ブロック経済とは、「仲間どうしなら貿易してもOK」とすることです。
植民地がある国にとって、植民地は仲間です。
植民地と自分の国の間だけで、貿易をすることを、ブロック経済と言います。

イギリスは、オーストラリア・ニュージーランド・香港・南アフリカなどと一緒に、ブロックをつくりました。
イギリスのブロックは、スターリング・ブロックと呼ばれました。

また、フランスは、オランダ・ベルギー・スイスとブロックを作りました。
フランスのブロックはフラン・ブロックと呼ばれました。

こうして、仲間がいる国は、なんとか生き残りました。
しかし、仲間がいない国は、さらに追い込まれました。
そして、「仲間が欲しい」と考えるようになりました。

第二次世界大戦へ
仲間がいなかった国は、生き残りをかけて、戦うしかなくなりました。
イギリス、フランス、アメリカなどは、「持てる国」と呼ばれました。
一方で、ドイツ、日本、イタリアは「持たざる国」と自称しました。
ドイツ、日本、イタリアは、「持てる国」になるために、他国に侵略しました。

- • ドイツ: ヒトラーが「領土拡大」で脱出を目指す
- • イタリア:アフリカ(エチオピアなど)に侵攻
- • 日本:満州や中国に進出して「円ブロック」経済圏を作ろうとする
つまり、
「ブロック経済で世界が分断された結果、植民地を持たない国が力づくで資源を求め、戦争へ向かった」
という流れです。
ブロック経済をきっかけに、第二次世界大戦が始まりました。
経済圏とは
ちなみに経済圏とは、経済の「仲間の輪」みたいな意味です。
「圏」とは、範囲、集団、なわばりという意味です。
経済圏を作ると、お金は仲間の間でしか動かなくなります。
このお金の動く経済圏のことをブロック(bloc)と呼びます。

ブロックの英語のスペルは2つありますが
断ち切るという意味のblockではなく、圏という意味のblocというスペルです。

